桜降る代の雑語り

ボードゲーム「桜降る代に決闘を」についての雑文を投げます

ユキヒオタクの戯言

※フレーバーの話なのでユキヒ様の使い方とか期待した方はごめんなさい。オタクの戯言に付き合ってくれる心優しい方は、明日からユキヒ様を宿せば決闘に勝てます。ユキヒ様を宿しましょう。

 

  どうも、幼女です。

  はらりゆきが強化されてからユキヒ様の使用率がはっきりと上がりましたね、ユキヒ様のミコトとして嬉しい限りですが、新幕最初期から存在していながら一度もカード修正を受けていないという特殊性が失われたことに何とも言えない寂しさも覚えています。

  ところでユキヒ様の通常札に、えんむすびというカードが存在しますね?公式メガミ紹介にもある通り、ユキヒ様は縁と人間関係を象徴するメガミであるため、えんむすびはきっと彼女の生き様を表すようなカードに間違いありません。

  肝心なカード効果は以下の通り。

納2

【展開時】間合→(1)ダスト

【破棄時】ダスト→(1)間合

【常時】あなたの傘が開いているならば、このカードの矢印は逆になる。

  展開前に参照する必要があるため、付与札には珍しい【常時】効果を持っていたり、他には二幕虚魚しか持っていなかった「矢印は逆になる」効果を持っていたりと、テキストだけでも面白いカードです。

  しかし、ユキヒ様に慣れていない方からすると、効果の有用性がよくわからないカードだと思います。

  展開時に一歩詰めて破棄時に一歩下がるだけなら、風舞台の方が便利そうです。展開時効果だけに注目しても、傘を閉じてる時は前に詰め、開けている時は後ろへ下がるという、ユキヒ自身の攻撃と噛み合わないちぐはぐなカードです。

  このカードの真の効果は、展開したターンの終了フェイズ時に傘を開閉することで生きてきます。

  傘がじた状態で展開しに一歩詰めて、傘をけて次のターンになると破棄時効果の矢印が逆になっているため、更にに一歩詰める事ができます。

  傘の状態が逆であれば、としながら二歩下がることができます。

  するとあら不思議、間合を二歩動かした上で、その間合が得意な方に傘を切り替えているではありませんか。つまりえんむすびは、もう片方のユキヒ様にバトンタッチする札だったのです。

  前に移動する場合は、例えばつきさしを当てるサポートをする場合ですね。開始フェイズに一歩詰めるので、相手が回避しようと思うと後退も入れて間合4まで下がらなければいけません。間合2からふりはらいで間合1、それでできたダストで展開すればスムーズに間合0に入れるのも美しいです。

  あとは、傘開け状態で傘の開閉を行わない場合でも、ダストが2以下であれば、えんむすびを使用しても展開時の後退効果を踏み倒し、相手のターンになってもダストを一個保持したまま纏いを阻害でき、相手の離脱を打ち消してクリンチ戦術の助けになります。

条件のない-/2は現時点(シーズン8)においてもこの一枚しか存在しない

  後ろに移動する場合はしこみびと組み合わせて使用するレンジロックが特に強力でしょう。しこみびで傘を開けて、えんむすびで一歩下がりつつ傘を閉じ直して次のターン更に下がります。はらりゆきが間合6でも使用できるようになったことや攻撃後に集中力がもらえるようになったことなど、ユキヒ様のレンジロックはますます強くなっています。

儚くも強か

  この令和の世において、えんむすびは決してカードパワーが強い方ではありません。しかし間合操作を得意とするユキヒ様らしく、使い方によっては相手へのこの上ない強力な束縛となることでしょう。(他のメガミとのシナジーもあったりなかったりしますが、ここでは割愛します)

 

  このカードに活用法があることはわかった、でももう一人の自分にバトンタッチと言っても、それは結局自分では?ならなぜえんむすびという名前が冠されているのか?それについては、ユキヒというメガミが生まれた経緯から説明する必要があり、またそれに関連して、チカゲの物語にも触れなければいけません。

  ふるよにを始めたばかりの頃、色んなメガミに触れていく過程で皆さん一度は思ったことがあるはずです、「なんで縁のメガミが二重人格?」「縁と死ってどういう組み合わせ?」と。そういうもんかぁと受け入れる人もいるかもしれませんがよくよく考えてみれば確かにちょっと首を傾げちゃいそうな疑問です。

  もったいぶらずに言っちゃいますと、このユキヒというメガミは元々「ユキノ」と「ホロビ」という二柱のメガミだったのです。

  ホロビは死を象徴するメガミであり、公式小説第一作『桜降る代の神語り』においては、人間だった頃のチカゲ──闇昏千影が宿しているメガミとして、間接的に登場しています。

  千影は過去のトラウマからホロビに強く依存しており、そしてホロビもまたその権能故に一般人から忌み嫌われ、そんな中千影に存在を求められたことで、千影に依存するようになります。

  生まれの忍の里から離れ、古鷹に身を置いていた千影だが、偶然の出会いにより桜降る代を征服する野望を持つ男・瑞泉驟雨に目をつけられます。驟雨は千影を暗殺者として雇い、当時最強と呼ばれていたミコト・龍ノ宮一志の暗殺を依頼します。

  千影は元々、ホロビの権能と毒を扱う自身の技術と知識を合わせて、相手が誰であろうと──それこそメガミであろうと殺すことのできる、死そのものが形になった毒「滅灯毒」を作り出していた。それを使って、千影は龍ノ宮一志の暗殺に成功します。

  この時の戦いは、公式から無料公開されている物語セット『龍ノ宮一志暗殺計画』で再現され、実際に遊ぶことができます。

刹那の判断が生死を分かつ

  その後も千影は驟雨の下でしばらく働いていたようですが、それが千影とホロビにとっての災難の始まりでした。

  驟雨に協力していたメガミの一柱・クルルはその当時、ミコトとの繋がりを通してメガミの力、ひいては神座桜の力を強引に引き出す「神渉」の研究をしていた。ホロビとの共依存により強固な繋がりを持つ千影は、格好な実験体だったのです。

  その結果、千影からホロビの力は奪われ、千影はホロビとの繋がりを断たれた状態になります。それからというもの、ホロビを奪い返す算段も、信用できて頼れる人も持たない千影は一人放浪することになります。

  そしてここに登場するのが千影の弟、闇昏千鳥です。(そう!なんとチカゲは姉属性を持っていたのです!)

  過去のトラウマと誤解から里を捨て行方不明になっていた姉を探す千鳥は、僅かな手がかりを辿って姉を追い続けていた。そしてその道中で、雪と名乗る謎の占い師と出会い、彼女から縁を司るメガミの加護を授かってみては?とアドバイスを受けます。この雪という女性こそ、縁のメガミ本人である「ユキノ」でした。

  ユキノの助力により、千影と千鳥は無事再会を果たし、ひと悶着あった後に和解して、共にユキノを宿すようになります。そして千鳥とその知人である揺波、サリヤたちの助力を得て、ようやく千影はホロビを取り戻しに瑞泉の地に向かいます。

ユキノの象徴武器・傘を使っていたころの千影

  長く苦しい戦いを経て、クルルを倒しホロビが封じ込められていた神渉装置を解体してついに再会を果たすが、ホロビは深い眠りについており、目覚めることはなかった。そこに現れたユキノによると、神渉装置によって神座桜の世界に存在する己が本質と引き離され、更にメガミとしての力を消費され続けたホロビは既に消滅寸前になっていました。

  自力ではもう神座桜の世界に戻れなくなっているホロビを、あちら側に通じる扉を強引にこじ開けて送り返そうとユキノは提案します。神渉装置の残骸やサリヤの乗騎ヴィーナのエネルギーを利用し、更にホロビと深い縁を持つ千影やメガミになりたてで神座桜と強い繋がりを持つサイネ、縁を司るユキノの力を使って、ホロビは己の本質と合流することに成功します。

  しかしそれでも、ホロビの状態が好転することはありませんでした。もうどうしようもなく弱りきっていたのです。

  そしてユキノは決断します───縁を、「心の繋がり」を司る自分の力を使って、ホロビの人格を自分の中に受け入れます。

  ──こうして、「ユキノ」と「ホロビ」は、一柱のメガミ「ユキヒ」に生まれ変わったのです。

「うら」とは「心」と書き、二つの心が、一つに交わる。

  ……長々とユキヒの誕生経緯について語ってきました(公式小説を整理しただけともいう)が、つまり私が言いたいのは、多くのユキヒのカードが閉と開で完全に効果が二分されている中で、傘を切り替えながら使用することに意味があり、お互いへのサポートを行う「えんむすび」は、まさに「縁結び」の力によって一つに繋がったユキノとホロビを象徴できるカードということなんです。長々と説明した割に結論が薄い

 

  ところで、傘を切り替えながら使うことに意味があるカードってもう一枚ありますね?

  そう、このカードです。

宇宙一好きなカードかもしれん

  このカードはBakaFire氏の過去の記事によると、

 「かさまわし」はユキヒをより楽しいメガミにするために作られています。傘は自分の戦略に合わせ、開閉を固定したほうが安定します。しかし「かさまわし」が開閉に報酬を与えることで、開閉してオーラを得た方が良いのかというジレンマが生まれるのです。

 

楽しき代のためカード調整より

  とのことらしい。つまりゲーム性の面からデザインされたカードですね。

  しかし私はこのカードに、ユキヒ様の精神性を表すフレーバー要素を見出しました。(怪しげな持論を繰り出す不審者)

  前提として、ユキヒ様(正確にはユキノ様)は精神、あるいはもっと俗な言葉を使えばメンタルがとんでもなく強いです。自分とは異なる存在の人格と一つの身体を共有し、それで普通に生活しているのですから明らかです。

  そして危機が迫る時に冷静に自分ができる最善な行動を即座に選択し行動できる、強い女性でもあります。その証拠に、

  シンラの力によって狂気に陥ったザンカ(揺波が宿す禁忌のメガミ)が現れた時、彼女と揺波の間に結ばれている縁を見抜き、微力でありながら一人と一柱がしっかり再会できるように手助けしたこと。

  海の向こう、サリヤの故郷・ファラ・ファルードにてサリヤが貴族のしがらみに囚われ、自由を奪われそうになった時、神座桜から遠く離れた異郷の地でも自分の力を発揮して、頼るべき人をすぐに特定しサリヤを救うために動いたこと。

  などなど、彼女が裏で手引きしたおかげで事態が好転した実績は多くあります。千影と千鳥を引き合わせたのも、もしかしたら瑞泉の侵略という一大事を前に彼女が縁から読み取った最善の一手なのかもしれません。

  では、彼女のそんな一面がゲームに表れたことはあるのでしょうか?一見するとなさそうです。しかしこのカードにこそ、私は彼女の強靭な精神を見出しました。そう、無限焦燥です。

大好きなので2回も掲載しちゃいます!

  皆さん御存知の通りふるよにのゲームシステムには焦燥ダメージというものが存在します。これは「カードを引く時山札にカードがなければ、引けなかった枚数分1/1のダメージを受ける」というものです。ユキヒとは関係ない記事ですが、BakaFire氏の過去記事によると、

 ここではもう一点、本作におけるドローのイメージについても話させて頂きましょう。カードゲームにおいては、山札は知識、手札は思考に例えられることがあります。ゆえにカードを引くのは知性的な動作とみなされやすく、それは一見してヒミカのイメージとはかみ合いません。

 

 しかし本作でドローはヒミカ的です。なぜか。それは本作が決闘のゲームであり、それゆえに時間の概念がより刹那的だからです。モンスターを召喚して指揮するゲームと、刀で切り合うゲームを比べて、1ターンの時間が同じであるはずがありません。ゆえに、手札という思考もまた、より瞬間の思考になるのです。

 

炎天は熱く熱く輝く(後篇)より

  とのことです。瞬間的と長期的という違いはありますが、ふるよににおいても手札は思考に結びつけられるようです。

  ではそんなゲームの中で、「カードを引きたいのにカードがない」という状況は、当然「必死に思考を巡らせたがなにも思いつかない」状況です。だからこそ、カードを引けない時のダメージは「焦燥」と名付けられたのでしょう。

  そしてかさまわしを使えば、そんな「焦燥」に無限に耐え続けることができます。たとえお互いもう相手への有効打がなくなり、手も足も出ない状況になったとしても、諦めずに頑張り続ける「かさまわし」に、私ははっきりとユキヒ様の姿を見ることができます。

  ……っと、ここまで書いて初めて実は無限焦燥できるカードが他にもそこそこあることに気づいたのは内緒です。壮語ぐらいだろと勝手に思ってました

 

  ……なんか長々と2枚のカードについて語ったけどどっちも結論が微妙になっちゃいました。この記事ボツでは?それでも私はこの2枚のカードが大好きです。

  とまあ書きたいことだけ書き散らしといてなんですけどこの記事多分なんの役にも立ちません。ここまで付き合ってくれた読者諸君はまさに聖人君子、ユキヒ様にも負けない慈しみの心を持っているに間違いありません。そんなあなたならば、明日からユキヒ様を宿してみると、連戦連勝できるかもしれませんよ?ということで、ユキヒ様を宿そう!

 

画像素材:

https://main-bakafire.ssl-lolipop.jp/furuyoni/na/rule.html

(ふるよにコモンズ/BakaFire,TOKIAME)